【同人レビュー】「修学旅行x王様ゲーム」(スルメニウム)

「修学旅行x王様ゲーム」レビュー・感想


スルメニウムのオリジナルコミック「修学旅行x王様ゲーム」が配信されました。業界を賑わせた話題作カラミざかりにインスパイアされた作品。枠組みこそ見紛うほど酷似していますが、蓋を開ければ違いが歴然です。


事あるごとに揶揄ってくる隣のクラスメイト早見翼。ある日彼女が修学旅行の夜に僕たちを含めた男女4人で遊ばないかと提案してきた。憎からず想っている主人公は彼女の誘いを受けることにする。



そして修学旅行の夜、他愛もない遊びで親睦を深める筈だったのに...。軽いノリで始まった王様ゲームで思春期真っ盛りの男女4人(主人公・工藤・早見<ヒロイン>・佐倉<ヒロインの女友達>)は、少しずつハメを外していく。ホッキーゲーム、服の脱がせ合い、ディープキス。悪ふざけは留まることを知らず、いつしか工藤と早見は一線を越え始める


明らかに度が過ぎた絡み合い(69)を目の当たりに戸惑いを隠せない主人公。ズキズキと疼痛を訴える心の叫びが皮肉にも”早見への恋心”を自覚させる。葛藤する間にも悪ふざけは過熱の一途を辿り、それが何かの冗談で日常の延長線上であることを期待するも「男に抱かれて満更でもなさそうな早見の表情」に裏切られ、ささやかな恋心さえも砕け散る。

眼前でハメを外す二人のように、自分もまた好きでもない(自分のことが好きな)佐倉の献身的な奉仕を受けるも彼女の存在は眼中にない。彼が向ける視線の先には晴れてカップルとなった工藤と早見の苛烈な情事が繰り広げられている。受け入れがたい光景を目に焼き付けながら「あの時こうしていれば」「もっと早く自分の気持ちを打ち明けていれば」と悔悟し、情熱的に絡み合う二人の姿にその全てが遅過ぎたと絶望し、想い人の膣内で射精すること叶わず、好きでもない女の膣内で射精した。


飛ぶ鳥を落とす勢いで売れに売れた某作品のように”片想いの女を眼前で寝取られる惨状”をコンセプトにした作品。その結末(男友達<工藤>の一人勝ちではない)は惨状と称するには聊か有情と言えます。絶望を一貫せず、救いの手を差し伸べるも救われない。そんな”中途半端さ”こそ本作の落ち度であり、某作品を擬えた弊害でもあります。

また救いの手を差し伸べた佐倉彩花(ヒロインの女友達)に対する粗略な扱いも看過できません。そもそも彼女の役割は「主人公を恋慕するヒロインの女友達」であり、言い換えれば「主人公の恋を阻止するための端役に過ぎず、本来は感情移入すべき存在ではありません。

しかし、端役にしてはあまりにも魅力的に描かれすぎている。主人公の為に一肌脱ごうとする健気さ、主人公の為なら抱かれても良いと羞恥を堪えて身を捧げる一途さ、主人公の心が自分に向いていないと知りながらも気丈に振る舞う強かさ。 サブヒロインと呼ぶにはあまりにも眩し過ぎる。感情移入の余地があるほど魅力に溢れています。もはや立派なヒロインなわけです。それこそ主人公の身に余るような。

だからこそ、主人公に頑なに無視され続け、気を引こうと献身的な奉仕を行うも振り向いてもらえず、最後まで報われることのない悲痛な結末を迎えることに憐憫を感じずにはいられません。頑なに取り合おうとしなかった主人公、そして魅力を与えておきながら”悲劇を演出するための駒”として利用した作者。彼女は生みの親にすら蔑ろにされたわけです。

あまりにも残酷ではありませんか...。

眼前で繰り広げられる情熱的な性交に絶望する主人公よりも、粗略な扱いを受けた佐倉彩花の方がよっぽど不憫です。信じがたい光景に呆然と立ち尽くし、それ以外は何もできない主人公に煩わしささえ感じます。当然ながら主人公に感情移入することが出来ず、没入感に乏しい結果となりました。


また公式では「片想いNTR」扱いの作品ですが、そもそも本作が寝取られモノということに懐疑的です。間男は主人公の恋心を知らず、主人公から奪い取ろうとする意思もない。その上、ヒロインも間男を拒絶しようとせず、むしろ心から受け入れている。つまり相思相愛なわけです。

これは取った取られた以前の話のように感じます。片想い寝取られを期待された方は肩透かし、或いは違和感を覚えるかもしれません。

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